2006年03月08日

ホテル・ルワンダ

映画「ホテル・ルワンダ」公式サイト

ようやく観ることができた。

この映画のことは、米国留学から帰国したK氏のみやげ話で知った。滞在中に観たなかで一番おすすめという触れ込みだったが、日本で公開している様子はなく、そのまま観るのはあきらめかけていた。

その後、ネット署名などの動きがあって、今年1月についに日本公開。実は、それ以来、午後6時15分からの回を観るために、何度かシアターN渋谷に足を運んだのだが、行く時間がギリギリすぎるのか、いつも「満席」の表示がかかっていて、入れなかった。今日はちょっと早めに到着して、なんとか40番目の整理券をゲットした。

1994年のルワンダで起こった、民族対立による大虐殺のなかで、自分の家族と1200人の命を救ったホテル支配人の話だ。その主役であるポールを、ドン・チードルが演じている (「トラフィック」での演技は秀逸だった)。

この作品はもちろん、ルワンダだけでなく世界のどこかで今も起きている民族紛争とその背景に関心を寄せるきっかけとなる。だがそれだけでなく、命をとられないまでも、ごく身近でパーソナルな状況に重ね合わせながら、私は何を守り、どう行動すべきなのか、自問自答しながら鑑賞することもできる。どちらかというと、私は後者のほうだったけど、川瀬くんの感想はその中間ぐらい?

あと印象的だったのは、ポールがホテル支配人としての職責と、身につけた才知を決して手放さなかったこと。それがたとえあざとく感じられようと、最後まで彼がなすべきことをやりとげるための命綱になる。

Posted by Hiroyuki KUROSAKI at 2006年03月08日 22:54 このエントリーを含むはてなブックマーク
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ブロークバック・マウンテン
Excerpt: 最近 いくつか映画を観た。 ブログ更新自粛中にも。 『 ナイロビの蜂 』 、、、
Weblog: Buddhi Prakash
Tracked: 2006年06月08日 01:16
Comments

呆然とするのは,これが1994年のことだということでしょう。石油もなければ,ヨーロッパやアメリカに近くもない国への無関心。

私が印象的だったのは,民兵に囲まれてもうこれが最後かっていう場面で,ホテルチェーンの会長と電話で話をしていて助力を得られたことでしょうか。どこかの誰かが何十万人死んでも気にしない人でも,自分がかかわった誰かが死ぬことには,やはり耐えられないのかもしれません。

世界はコネと金だな,というのが見終わった私のややひねくれた感想でした。ただ,見ていて安易な感想とかコメントできないような重さは感じました。もっとも,見終わった後も絶望的な気分になったりはせずに,すなおに選択肢があるすばらしさ,この今この瞬間のすばらしさを感じさせていただきました。

Posted by: 山田@MN on 2006年03月08日 23:14

山田@MNさん、ありがとうございます。

会長、ジャン・レノでしたね。それはそうと、「コネ」というと何だか意地汚いですが、私はむしろ、やはり「縁」は基本だなぁと感じました。人を思うときの、距離の近さというものは、どうしてもあるものだと思うのです。妻と子供だけでなく、隣近所の人や孤児たちまでもどっと身を寄せてきたときの、主人公のとまどいは、やはりぬぐいがたいものとして感じてしまいました。それだけに重い、のではないかと。

Posted by: noir123 on 2006年03月08日 23:41

トラックバックありがとうございます。
現在、ルワンダ虐殺のルポ『ジェノサイドの丘』(上・下)を電車の中で読んでおります。この本も、すごいです。読んで初めて知ったのですが、少数派のツチは、けっこう周期的に、国民統合の「犠牲」として何度も独立後、フツ族に虐殺されていたそうです。94年の事件がはじめてではなかったとのこと。植民地政策で、最初ツチが優遇されていたとか、歴史的要因は色々ありますが、「いじめっ子がいじめられっ子の復讐を恐れて却って逆ギレ」という構図は、関東大震災の際の朝鮮人虐殺を思い起こさせます(ということで、町山さんの解説はこの上なく適切だったと僕は考えます)。
僕も「コネ」というか、自分を中心とした半径数メートルにいる人のことをおもんぱかる、ということは非常に大事だと思います。ポールさんの素晴らしさは、まさにこれをやり遂げたことにあると思います。

Posted by: 川瀬 on 2006年03月09日 00:52

川瀬さん、ありがとうございます。
『ジェノサイドの丘』、私も読んでみます。
町山さんの解説をめぐる論争は私もヲチしてますが、同感です。

Posted by: noir123 on 2006年03月09日 06:42

大変ご無沙汰いたしております。 インドをやっている近藤です。 お元気でいらっしゃいますか? TBをはらせていただいたので、ご挨拶です。

Posted by: コンドウ on 2006年06月08日 01:20

こんにちは。ブログ復帰されたんですね。安心しました。

Posted by: noir123 on 2006年06月08日 23:02
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